蓮如上人御一代記聞書という書物に赤尾の道宗という方がこのようなことを仰られたということが伝わっています。
あかおの道宗、もうされそうろう。「一日のたしなみには、あさつとめにかかさじと、たしなめ。一月のたしなみには、ちかきところ、御開山様の御座候うところへまいるべしと、たしなむべし。一年のたしなみには、御本寺へまいるべしと、たしなむべし」と云々
これを円如様きこしめしおよばれ、「よくもうしたる」とおおせられそうろう。
赤尾とは五箇山にある場所です。
副住職は2020年の2月に富山別院にご縁を賜りお参りしました。その時、レンタカーを借りて、五箇山巡りをしました。
五箇山は合掌造りで有名です。白川郷とともに世界遺産に登録されています。まさに、日本の原風景という景色でした。相倉と菅沼という集落が合掌造りの集落として観光スポットにもなっています。そして実はこの相倉はとてもお念仏が盛んな所なのです。小さな集落ですが、2つもお寺があります。一つは真宗大谷派の相念寺さん。もう一つは本願寺派の西方道場です。西方道場は村人たちで守られてきた小さな小さな念仏道場です。
五箇山は大変に雪深い所です。副住職が行った年は極端に雪が少ないと皆さんが口々に仰っていました。例年は相当積るそうです。
道宗さんは五箇山の赤尾というところ出身です。相倉や菅沼からも近い所ですので、このような風景に育てられたお方だったでしょうし、西方道場などにもお参りされてたのではないかと想像されます。ちにみに道宗さんは後に、赤尾に「行徳寺」を建てられています。
道宗さんは蓮如上人とご縁の深かったお方です。早くに親を亡くされますが、蓮如上人との出あいによって、阿弥陀様のご本願を喜ばれ、お念仏に生きたお方です。その道宗さんが、「一日のたしなみには、朝のお勤めを大切にしましょう」と仰います。今聞くと簡単なことのように思えますが、この五箇山での朝のお勤めは並大抵ではなかったのではないかと現場に行って生で感じましたよ!
五箇山の西方道場では近年までお朝事(朝の勤行)が勤まっていたようです。朝喚鐘を鳴らし、近所の方々がお参りにこられるそうです。(今は西方道場でお朝事が勤まっているかどうかは分かりませんが、お内陣に仏花が生けられてありましたので、今でも大切に護られていることを実感しました)そして、これ、並大抵ではありません。特に冬は雪がすごいですから!西方道場に参るだけでも大雪の中、足は雪に埋もれ、寒さの中のお勤め、相当厳しいものであったろうと思います。
次に、「一月のたしなみには、近きところの、お寺のご法座へお参りしてお聴聞を大切にしましょう。」と仰います。これも、今では車もありますし、さほど厳しいものとは思えません。しかし、当時は歩いてです。しかも何度も言いますが、雪の中!!!道宗さんは、赤尾から、井波の瑞泉寺さんへお参りをされたと伝わっています。歩いたら片道5時間!!!37キロあるということで、その道宗さんにちなんだマラソンも行われているみたいです(笑)
コース | 第6回 世界遺産 五箇山・道宗道トレイルラン大会 (gokayama-doshutrail.com)
そして最後に、「一年のたしなみにはご本山へお参りすることを大切にしましょう!」と仰います。。。。。。全然できていない!!!
私、コロナでしばらくご本山にお参りできていないのです。親鸞聖人、申し訳ございません!道宗さんに合わせる顔がありません。( ゚Д゚)
息子が小学生になったら報告参拝したいなと思っていた矢先のコロナでした。今落ち着いてきましたので、タイミング見計らってお参りしたいですね。道宗さんのお言葉に本山参りの力をもらうのであります♪
毎朝のお勤め、月に1回はお寺へ足を運びお聴聞、年に1回は本山へ参りご真影様にご挨拶御礼申し上げる、浄土真宗はこの伝統を大切にしながら、尊いみ教えが相続されてきました。道宗さんを見習って、たまには怠け心に鞭打ちながら、ご恩報謝の人生を歩んでいきたいと思うのです。