陣痛体験マシーン

以前とあるテレビ番組で、「陣痛体感マシーン」を体験するという企画がありました。陣痛体感マシーンとはお腹に特殊な電流を当てて、実際に出産の時、女性が感じる陣痛や出産の痛みを再現できるという機械です。

それにチャレンジするのが出川哲郎さん。出川さんはその企画に挑戦される直前、「人間が体験する痛みの中で一番は出産、二番は尿管結石。自分は尿管結石の方はもう経験していて半端ではない痛みだった。だから怖い。」とおっしゃっていました。

 いよいよ電源が入ります。まずは陣痛の痛みです。出川さんはすぐに「ストップストップ!」と声を荒げます。リアクション芸人なのでいつもは大げさに表現されるんでしょうが、この言い方は本当に痛かった様子がすごく伝わってきました。一瞬の痛みですが脂汗がダラダラ、顔が真っ赤っかです。そして次に出産の痛みです。先生に先ほどの比ではないと脅されます。本当に刺されたくらい痛いそうで、体をねじらせながらストップーっと叫ばれていました。

陣痛体験が終わった後、先生が「ひどい方はこの痛みが一日以上続きます。この痛みを延々と耐えた先に命が生まれるんですよ」とおっしゃいました。それを聞いた出川さんの口から出た言葉が「こんな思いをして産んでくれた母ちゃんに心の底から有難うと言えますね。」でした。

大事に生きます

そこまでは私も何となく想像していました。しかし、その後出川さんの口から出た言葉が

「大事に生きます」でした。

私はこの言葉にすごく心打たれました。自分のために命を削って痛みに耐えてくれた人がいる、その痛みを生んだ瞬間に忘れ、喜びとまでいってくれた人がいる。自分の事を自分以上に思ってくれている方がいる。それを少しでも知るによって、自分のいのち、自分の人生を大切に思えるようになる事を教えてもらったような気がします。無駄にしてはいけないと教えてもらいました。

阿弥陀様のご心配とご苦労を聞く

 お聴聞もこれに似ています。阿弥陀様が私の事をどれほどのお気持ちで願ってくださっているのかを聞かせていただきます。私の事が心配で心配で呼び通しに呼び続けて下さっている南無阿弥陀仏のお呼び声を聞かせていただきます。南無阿弥陀仏の呼び声となって私に届くまでのご苦労が五劫超戴(ごこうちょうさい)永劫(ようごう)という計り知れないものであったという事を聞いていきます。その私にかけられた阿弥陀様のとてつもないご心労を少しでも知っていく事によって、私のいのちが、そして周りの人のいのちが輝いてくるのではないでしょうか。

 自暴自棄になる事もあります、全てがもうどうでもよくなる事もあります。しかし、私の事をずっと心配し、はたらいて下さっているお方がいらっしゃいます。今後もお互いお聴聞を重ね、人と比べず、自分らしく、私の物語を大事に生きていきたいですね。

三次市 西覚寺